改良メダカの美しさ、おもしろさの理由の1つが、多種多様な種類があること。色の違い、目やヒレの違い、模様など、違いがあることで個性を感じられ、1匹1匹のメダカに対して美しさやおもしろさを感じることができます。

改良メダカは日本の野生のメダカ(主にミナミメダカ)を改良して生み出されたメダカです(以降、野生のメダカのことを「野生メダカ」と記載します)。改良される中で多くの「変化パターン」が生み出され、日本メダカ協会が発行している「日本メダカ協会公式ガイドライン 品種分類マニュアル」では、これらのパターンを7グループ45種類に分けています。

メダカの様々なパターンを知りたい!、という方はまずこの45種類を覚えるとよいでしょう。これら45種類を判別できるようになれば、あなたは中級者です。 上級者を目指す方は、「形質補足:40種類」、「共通補足:11種類」を学習してみてください。これらすべてのパターンを判別できるようになればあなたは上級者です。



目次(クリックorタップで該当箇所に移動します)

・野生メダカの特徴
・改良メダカの変化パターン
・体色
・透明鱗
・目の変化
・虹色素胞
・柄
・ヒレ変化
・体型
・共通補足
 

 

野生メダカの特徴
野生メダカの部位図

前述した通り改良メダカは野生メダカを起源とし、改良されることで生み出されました。
そのため改良メダカの特徴を知る前に、まずは野生メダカの特徴を押さえておくことが肝要です。
(上図の「部位の名称」は野生メダカ、改良メダカ共通です。)


<野生メダカの特徴>
体色 茶色
体の大きさに対して小さくも大きくもなく、出っ張りもない。瞳は黒い。
エラ蓋 魚が呼吸をするエラを蓋するようについているパーツ。野生メダカのものは透けていない。
体全体 ラメが入ったり、背や体内、ヒレなどが輝いたりしていない。
ヒレ 体の大きさに対して上図のような比率の大きさや形となっている。
体の大きさに対して、大きすぎたり小さすぎたり、長くなったりしていない。
背びれ、尾びれ、尻ビレ、腹ビレのいずれも、軟条とヒレ膜で構成されている。
体型 上図のような形。

 

改良メダカの変化パターン
前述したように、改良メダカには様々な部位について変化したパターンが7グループ45種類あります。
また、45種類のうち16種類に関して、その特徴をさらに細分化する「形質補足」というものが40種類あります。
さらに、これらとは別に「共通補足」と呼ばれる特徴が11種類あります。これには45種類の特徴の複数種類にまたがって細分化された形質補足や、反対にどの種類を細分化したものか判断が難しい特徴が該当します。

「形質補足」や「共通補足」は安定的にメダカに出現するようになり、かつ、日本における認知度が高くなると、形質に組み込まれる可能性があります。

改良メダカにはこれら全てをあわせて96もの種類があります。毎年新しい形質が発見されているので、今後も新たな「変化パターン」で私たちを魅了してくれるでしょう。

<形質一覧>
形質一覧図

 

体色
野生メダカの体色は「茶色」です。改良メダカでは茶色を含め10種類の色があります。

体色一覧

体色の形質補足
体色に関する「形質補足」は下記3種類に関して存在します。
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  • (?)クリーム
    白色より黄色味のあるクリーム色である。シルキー体色とも呼ばれる。

    (?)パールブルー
    淡い青色をしている。通常青体色はこの色のことを指す。

    (?)パープルブルー
    黒みがかった青色をしている。

    (?)緑
    緑っぽい青をしている。

    (?)ヒレ黄
    体色は青だがヒレと頭部が黄色い。「シルバーメダカ」とも呼ばれます。

    ブラック

    (?)ヒレ黄
    体は黄色を含む茶黒になり、各ヒレも黄色が入る。
 

 

透明鱗
透明鱗一覧

野生メダカと同じものを「普通鱗」と呼び、それとは別にエラ蓋部分が透けるパターンが2種類あります。

 

−(1)透明鱗−
エラ蓋部分の虹色素胞が欠如することで、エラが透けてエラ蓋部分に血液の赤色が見える。また、「体色がやや透明になる」「ヒレに色が入る」「体の色が部分的に抜ける」などの特徴をもつ。


透明鱗の形質補足
透明鱗に関する「形質補足」は2種類存在します。
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  • (?)片ホホ
    透明鱗の赤く透けて見える状態が左右のどちらか片方のみである。

    片ホホ透明鱗の説明図

    (?)ホホ無し
    エラ蓋部分は赤くなっていないが、 「体色がやや透明になる」「ヒレに色が入る」「体の色が部分的に抜ける」などの特徴を持っているもの。

    ホホ無し透明鱗の説明図  

 

−(2)半透明鱗−
体全体が普通鱗と透明鱗の間くらい透けている。別名「オーロラ」。 半透明鱗には形質補足はありません。

 

目の変化
目の変化一覧

野生メダカの形、色から変化したパターンが10種類あります。

 

−(1)アルビノ−
目が赤く透けて見える。


アルビノの形質補足
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  • (?)チェンジカラー
    見る角度によって目の色が赤から黒へ変化する。


       

 

−(2)パンダ−
虹彩が黒く目全体が黒い。

 

−(3)ルビーアイ−
瞳孔が黒みがかった赤色をしている。どの角度から見ても同じ色に見える。


ルビーアイの形質補足
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  • (?)チェンジカラー
    見る角度によって目の色が濃い赤から黒の間で変化する。

 

−(4)プラチナアイ−
角膜に部分的にラメのような輝きがある。

 

−(5)アースアイ−
瞳孔部分が虹色素胞で覆われ目の色が見る角度によって変化する。


アースアイの形質補足
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  • (?)青
    眼球の瞳孔が青色である。

    (?)銀
    眼球の瞳孔が銀色である。

 

−(6)スモールアイ−
瞳孔が小さい。背地適応*しにくい。
*背地適応とは?
メダカは黒い水槽に入れれば体が黒っぽくなり、白い水槽に入れれば体が白っぽくなります。このような体色の変化を背地適応と呼びます。


 

−(7)出目−
両目が飛び出している。

 

−(8)目前−
目が斜め前を向いている。

 

−(9)ビッグアイ−
目の大きさがとても大きい。写真は左が普通目、右がビッグアイ。

 

−(10)水泡眼−
眼球の角膜が膨らみ、水泡が形成される。

 

虹色素胞
虹色素胞一覧

体全体や背、体の中、ヒレなどにラメや輝きが出るパターンが6種類あります。

 

−(1)ラメ−
鱗1枚1枚に虹色素胞が集まることで、キラキラとした輝きが見られる。


ラメの形質補足
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  • (?)白
    ラメの色が白色の単色で発現します。

    (?)青
    ラメの色が青色の単色で発現している。

    (?)多色
    青色やオレンジ色、金色、ピンク色など、様々な色のラメが同時に発現している。
     

 

−(2)体外光−
背ビレの付近から頭にかけて青白い光のような輝きが発現している。


体外光の形質補足
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  • (?)白
    体外光の輝きの色が白色である。光の層が厚くなるほど,白色になる傾向があります。

    (?)青
    体外光の輝きの色が青白い色である。一般的に体外光と言われるのはこの色です。

    (?)金
    体外光の輝きの色が金色である。

    (?)緑
    体外光の輝きの色が緑色である。緑光とも呼ばれます。

    (?)二色
    体外光の輝きの色が頭部と背中部分で異なるパターン。

    (?)頭光
    体外光の輝きの色が頭部のみに発現するパターン。

    (?)横光
    体外光の輝きの色が体の横に発現するパターン。光の形状は様々で、帯状や骨に添った線状の輝きなどがあります。

    (?)鱗光
    体外光の輝きが鱗に沿って網目状に発現するパターン。

    (?)スポットラメ
    体外光の輝きが飛び飛びで発現するパターン。
 

 

−(3)体内光−
体の中に青白い光のような輝きが発現している。


体内光の形質補足
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  • (?)青白
    体内光の輝きの色が青白い色である。一般的に体内光と言われるのはこの色です。

    (?)緑
    体内光の輝きの色が緑色である。

    (?)オレンジ
    体内光の輝きの色がオレンジ色である。

    (?)青
    体内光の輝きの色が青色である。

    (?)多色
    体内光の輝きの色が二色以上である。

    (?)口内光
    体内光の輝きが口の中に発現している。
 

 

−(4)全身体内光−
体内のほぼ全域、またはまばらに輝きが発現している。透明鱗または半透明鱗のメダカに発現します。


全身体内光の形質補足
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  • (?)多色
    光の色が多色になる全身体内光です。全身体内光の多くは光の色が多色になります。光の色は青色、緑色、オレンジ色など様々です。
 

 

−(5)腹膜光−
体内の腹膜部に輝きが発現する。透明鱗または半透明鱗のメダカに発現します。透明鱗性、半透明鱗性の独特な透明感の影響で体内光より鮮やかな輝きを有しています。


腹膜光の形質補足
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  • (?)青
    光の色が青色になる腹膜光です。

    (?)オレンジ
    光の色がオレンジ色になる腹膜光です。

    (?)多色
    光の色が二色以上になる腹膜光です。
 

 

−(6)ヒレライン−
ヒレの中の軟条に沿って線状に虹色素胞が発現している。

 

柄
柄一覧

体に模様が出るパターンが2種類あります。

 

−(1)斑−
体の所々に黒い斑が発現する。斑の発現する位置や濃さは個体によって様々ですが、選抜交配することで黒斑の面積を広げることや黒を濃くすることができます。斑は背地適応するため、白い水槽では原則発現しない。 「錦」「墨」とも呼ばれる。


斑の形質補足
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  • (?)背地適応なし
    白色容器などの明るい環境でも斑が薄くならない。
 

 

−(2)ブラックリム−
鱗を強調するように黒い柄が発現する。頭部は鱗の縁に黒が発現しやすく、尾ビレに近づくにつれて鱗の中心部分に黒が集まりやすくなる傾向にあります。

*斑とブラックリムの違い*
斑は黒斑が発現するのが特徴で,黒斑の位置は個体によって様々です。
ブラックリムは鱗を強調するように黒い柄が発現します。斑と異なり所々で黒が途切れることはなく,黒が体全体に均等に分布しています。色の薄いブラックリムは黒が全体に分布せず,体側面の一箇所だけ発現する個体がいますが,斑のように離れた場所に黒が発現することはありません。
また,頭部は鱗の縁に黒が発現しやすく,尾ビレに近づくにつれて鱗の中心部分に黒が集まりやすくなる傾向にあります。
斑とブラックリムの違い

 

ヒレ変化
ヒレ変化一覧

ヒレの長さや形が変化したパターンが12種類あります。

 

−(1)サムライ−
背ビレの鰭膜、あるいは軟条が欠如することで背ビレが2枚になっている。セルフィンとも呼ばれる。

 

−(2)菱尾−
体型が普通種体型またはダルマ体型で、尾ビレが菱形になっている。新体型とも呼ばれる。

 

−(3)マルコ−
背びれが欠如している。

 

−(4)メラー−
鰭膜の成長が途中でとまり、ヒレが複数枚に分かれている。

 

−(5)スワロー−
軟条が部分的に突出することで、ヒレの一部が長く見える。風雅とも呼ばれる。

 

−(6)ヒレ長−
全てのヒレがとても伸長している。「松井ヒレ長」「天女の舞」とも呼ばれる。

 

−(7)ロングフィン−
背ビレとしりビレの軟条が全体的に伸長している。体外光であれば伸長した部分に光が発現しやすい。

 

−(8)ワイドフィン−
尾筒が幅広く、尻ビレ、背ビレの幅が広い。

 

−(9)リアルロングフィン−
全てのヒレの長さが、ヒレの形状を維持したまま1.5倍以上に伸長している。 ヒレ長はヒレの縁は短く中心部が長くなりやすいなど、伸長の仕方に統一性がありません。一方、リアルリングフィンはヒレの形を維持したまま伸長します。

 

−(10)モルフォ−
尾ビレが扇状になり、ヒレの先が鋸歯状になる。尾ビレ以外のヒレも同じような発現をし、特に胸ビレ、腹ビレは鋸歯状になりやすい。

 

−(11)フサヒレ−
軟条が途中で分岐し房状になる。

 

−(12)ナローフィン−
しりビレの幅が短く、軟条が密集している。

 

体型
体型一覧

野生メダカの形が「普通種」でそれとは別に3種類あります。

 

−(1)ヒカリ体型−
尾ビレが菱形となり、背ビレとしりビレが同じ形をしている。 背骨を中心に背びれとしりビレが上下対称となる。ヒカリ体型同士の交配では、99%ヒカリ体型が産まれる。 元々、腹部の虹色素胞が背中に転移したことで上から見ると光ることから「ヒカリ体型」と名づけられましたが、現在では光のないヒカリ体型も存在するため尾ビレと背ビレを見て判断します。


ヒカリ体型の形質補足
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  • (?)強光
    強光はヒカリ体型の背中の光が通常よりも強い個体です(体外光とは異なる)。 光が途切れることなく銀色の筋に見えます。

    (?)銀帯
    銀帯はヒカリ体型の背中の光が強くなり、体の横まで光が覆い帯状の光を発現している。

 

−(2)ダルマ体型−
背骨が部分的に癒着して短くなり、体長が普通種体型の半分程度しかない体型のメダカです。
体長が短くなった影響で背中が盛り上がっている。
泳ぎが苦手で水温や水質の変化に敏感なところがあり、飼育や産卵が難しい。
固定率は低く、ダルマ体型同士を交配しても普通種体型、半ダルマ体型、ダルマ体型が産まれてきます。
バルーンメダカ、ショートボディとも呼ばれる。



※ダルマとは?
ダルマは日本で願いを叶える縁起物として扱われている人形です。人間が短くなったような形をしています。


ダルマ体型の形質補足
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  • (?)半ダルマ
    体長が普通種体型より短く、ダルマ体型より長い体型です。

 

−(3)ヒカリダルマ体型−
ヒカリ体型とダルマ体型の両方の特徴を併せ持つ体型のメダカです。 ヒカリ体型のような背ビレや尾ビレをしており、ダルマ体型の様に普通種体型の半分程度の体長しかありません。


ヒカリダルマ体型の形質補足
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  • (?)強光
    ヒカリダルマ体型の背中の光が通常よりも強い個体です(体外光と異なる)。光が途切れることなく銀色の筋に見えます。

    (?)銀帯
    銀帯はヒカリダルマ体型の背中の光が強くなり、体の横まで光が覆い帯状の光を発現ししている。

 

共通補足
共通補足一覧

これまでに紹介した45種類の特徴の複数種類にまたがって細分化された特徴や、反対にどの種類を細分化したものか判断が難しい特徴を共通補足としてまとめています。

 

−(1)ヒレ美−
ヒレに鮮やかな色が発現するメダカです。ヒレ美を判断する明確な基準はありませんが、
 ・体色以上にヒレの色が鮮やかで目立つ
 ・通常では色が発現しにくい位置に色が発現する
上記がヒレ美に該当します。どちらも普通鱗では発現しにくい特徴で、ヒレ美は基本的に透明鱗性の品種に発現することが多いです。


 

−(2)腹膜青−
腹膜の虹色素胞が青色になり、かつ、黒水槽では青色が発現しない。

 

−(3)体内黒−
体内に黒色素胞が発現している。

 

−(4)ヒレ光−
ヒレに鮮やかな光がある。以下のような特徴を持っている。
 ・通常上から見るべき体外光を横から鑑賞しても良いと思えるほどヒレの光が強い
 ・角度によって光の強さが変わることなく常時強いヒレの光が発現している



 

−(5)一周光−
ヒレ光が各ヒレの縁を一周するように発現している。

 

−(6)背地適応なし−
白水槽でも体色が変わらない特徴を持っている。通常だと白水槽では黒体色は灰色になり、斑やブラックリムは柄が消えますが、この共通補足を持っているメダカは白水槽でも黒色が濃く出ている。

 

−(7)ヒゲ−
出目の顎付近に小さな突起物がある。

 

−(8)頂点眼−
出目の中でも目が上を向いている。

 

−(9)モザイクパンダ−
アルビノの虹彩部分、腹部の所々に黒が発現している。

 

−(10)シースルー−
アルビノから虹色素胞が欠如し、内臓まで透けて見える。

 

−(11)側面光−
側面を中心に銀色の輝きが体に入ります。

 

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